母乳育児は、赤ちゃんの免疫力を強化し、赤ちゃんの腸内細菌叢を良好にすることで知られていますね。
ただし、そのメカニズムについてはナゾが多く、まだ解明されていませんでした。
ドイツの研究で、そのメカニズムがやっと発見されたとのこと!
詳細を見てみましょう。
母乳に含まれる「アラーミン」が赤ちゃんの免疫力をUP?
ドイツのボン大学やハノーバー医科大学などの共同研究により、母乳が赤ちゃんの免疫力をUPするメカニズムが発見されました。
それは、母乳に含まれる「アラーミン」というタンパク質が関与しているとのこと!
アラーミンは、別名『危険信号分子』と呼ばれており、細菌感染や傷害などの危険を速やかに体内に伝達し、免疫系を活性化する因子の総称だそうです。
アラーミンの働きとは?
研究者たちによると、アラーミンは母乳に含まれる『金』といえるほど貴重な存在とのこと!
タンパク質の1種であるアラーミンは、敗血症や腸の炎症につながる「腸内コロニー形成障害」を予防するのだそうです。
赤ちゃんの腸の免疫システムはどうなっている?
生後すぐの赤ちゃんの腸内免疫システム(腸内細菌叢と腸粘膜)は、腸内環境の細菌との相互作用により成熟することがわかっています。
その時に、生涯続く、最適な細菌の多様性を生み出し、多くの病気に対する保護を提供するようになります。
この研究の結果、アラーミンはこの適合プロセスを制御できることもわかってきました。
母乳由来のアラーミン量は出生環境で異なる?
研究者によると、アラーミンは母乳由来のタンパク質であり、子どもの腸管でも産生されることが明らかになっています。
しかし、帝王切開で産まれてきた乳児は、経腟分娩で産まれてき乳児よりもアラーミン量が少ないため、子ども自身が持つアラーミン量は分娩法に関与するそうです。
また、早産児も正規産児よりも、アラーミンの産生能力が低いとのこと。
そのため、こうした環境で産まれてきた人は、将来、慢性炎症性疾患を患う傾向がより高くなってしまうようです。
母乳育児でアラーミンを補うことが重要
この結果をふまえ、マウスを用いた実験を行ったところ、アラーミンを投与することで、コロニー形成不良や、それに関連する疾患が予防されることを確認。
研究者たちは、
「分娩環境でアラーミン量を確保できなくても、母乳より十分なアラーミンを補うことが大切です」
と述べています。
※参考:『胃腸病学』
さいごに
やはり赤ちゃんの健やかな成長は、ママの力が絶大ですね。
アラーミンは母乳由来のタンパク質ですが、母乳を十分に得られない赤ちゃんに対して、今後、アラーミンを含むベビーフードや粉ミルクなどの開発が進んでいくことでしょう。