妊娠前の母親の体重が子供のアレルギー性疾患に関与? カナダ・研究
妊活中のママに、注目の研究発表がありました。
カナダからの研究報告ですが、ママが妊娠前に過体重であった場合、産まれた子供に、幼児期のアレルギー性疾患を発症するリスクがあるとのこと。
詳細を見てみましょう。
約25万人の子供を7年間追跡調査!
カナダのオタワ大学の研究により、冒頭のような事実がわかってきました。
研究では、オンタリオ州の約25万人の子供を対象に、7年という歳月をかけて追跡調査を行っています。
追跡調査の結果、わかった事実とは?
追跡調査の結果、わかった事実は、以下の6つ!
- 妊娠中のママの体重増加と小児アレルギー性疾患との間に、関連性は見られなかった。
- 妊娠中に肥満であったママから産まれた子供は、喘息の発症リスクが8%高かった。しかし、皮膚炎やアナフィラキシーショックを発症するリスクは、僅かに低くなった。
- 乳児の約半分は、妊娠中に過体重または肥満であったママから産まれていた。その中の1/3については、妊娠中に過体重になったママから産まれていました。
- 妊娠期に入ると、過体重や肥満になるママが多かった。そして多くの子供たちが、幼児期にアレルギー性疾患を発症していた。
- カナダでは、人口の約30%もの人々が、少なくとも1つのアレルギー性疾患を持っています。特に未成年者では、有病率がさらに高くなっています。
- 世界的に見ても、アレルギー性疾患の傾向は「流行」と呼べるほどの罹患率に達しています。慢性疾患の中でも、最も発症率の高い病気となっています。
ということです。
妊娠前の過体重・肥満に注意!
今回の研究で、妊娠中、子供に栄養を与えるため、過体重や肥満になるほど、食べ過ぎてしまう女性が多いことがわかりました。
妊婦の体重によって、子供のアレルギー発症リスクが高まる割合は、大きいものではありません。
しかし、国民全体で見た場合、多くの子供のアレルギー性疾患は、妊娠中の母親が過体重または肥満でした。
特に、妊娠前から母親が過体重または肥満であった場合に、その子供のアレルギー性疾患リスクが高いので、妊活中のママは、体重管理に気を配るようにしましょう。
※参考:『小児周産期疫学』
さいごに
妊娠前や妊娠中のママの栄養状態が、産まれてくる子供の健康に寄与することは、以前から言われていましたね。
身体に良いものを食べていても、体重が増加してしまう方は、食事内容も大切ですが、体重減に努めることも大切ですね。
《酒は百薬の長》は真っ赤なウソ!? ドイツ・医学研究
日本で、《酒は百薬の長》といういわれがあるように、少量のお酒は健康に良い!? と昔から、信じられていますね。
世界各国でも、こうした逸話が残るようですが……
ドイツの最新・医学研究で、こうした逸話は、全く意味のない事実がわかってきました。
詳細を見てみましょう。
お酒は少量でも健康リスク大?
ドイツのグライフスヴァルト大学の研究によると、現在、禁酒していても、以前にアルコール摂取の習慣があった者は、死亡リスクが高い、という事実がわかってきました。
例え少量でも、毎日のように飲酒していた人も対象とのこと……!?
ドイツ成人、約4000名を20年間追跡調査
研究チームは、18~64歳のドイツ成人を対象に、約20年間の追跡調査を実施しました。
調査開始は1996~1997年にかけて。
当時の対象者、約4000名を、20年ほどかけて追跡しました。
調査項目は、
- 飲酒頻度
- 健康状態
- 薬物使用
などです。
その間の死亡データも調査しています。
調査終了の1年前に禁酒したところ……
対象者には、調査終了前の約1年だけ、禁酒してもらいました。
元々アルコール摂取の習慣があった人たちです。
先行研究では、アルコールを摂取しない者は、低から中程度の量のアルコールを摂取する者よりも、死亡率が高いことがわかっていました。
それを踏まえて、禁酒してもらいましたが、結果に差異はなかったそうです。
詳細調査の結果は?
対象となった4000人のうち、約10%は、もともとお酒が飲めない人たちでした。
全体の90%が、元アルコール摂取者となります。
禁酒をしてもらった人たちの、健康状態は、以下の通り。
- 約35%が重度のアルコール摂取者
- 約50%が毎日の喫煙習慣があった
- 約10%が自身の健康状態を良くないと思っている
という自己申請報告でした。
もともとお酒が飲めない人たちと、後者を比較すると、死亡リスクは2.44倍になるそうです。
お酒を飲めない人の全死因リスクは低い!?
一方の、元からお酒を飲めない人たちは、低から中程度の飲酒者と比べると、全死因(病気による)リスクが、1.64倍、低いことがわかりました。
この結果は、年齢、性別、喫煙習慣を調整しています。
現在、禁酒していても過去に飲酒習慣があると無意味?
この結果は、研究者によると、
現在、アルコールの摂取を控えている人たちは、必ずしもアルコール摂取量が低~中程度の人たちよりも、寿命が長いとは言い切れません。
この調査結果により、健康上の理由で、飲酒を推奨することは反対です。
一時的にアルコールの摂取を控えたとしても、過去に飲酒習慣があった場合、既に健康上の被害を受けたことになります。
長期的に、飲酒しない習慣が必要だと言えます。
早死のリスクは、飲酒と薬物、危険な飲酒量、喫煙が主な原因となっています。
多くの人たちの「不健康」の元凶なのです。
と、述べています。
※参考:『プロス医学』
さいごに
少量の飲酒は、健康に良い! と信じていた人にとっては、ショッキングな研究発表ですね。
毎日の飲酒習慣は、量に関わらず健康被害を及ぼすようなので、できる限り、長期的な禁酒が望ましいようですね。
ヨーロッパでは3000年前からビールを飲んでいた?イタリア・古代研究
イタリアの採掘調査により、先史時代の微生物が分析され、ヨーロッパでは、約3000年前からビールを飲んでいた事実が判明しました!
3000年前から、人類は発酵食品を製造していたのでしょうか?
ナゾに迫ってみましょう!
先史時代の採掘物よりチーズとビールの菌が発見!
イタリアの《EURAC研究所》などの共同研究発表により、先史時代の古糞便から、ブルーチーズとビールの生産に必要とされる、2つの《真菌》が発見されたことが判明しました!
研究チームは、オーストリアのユネスコ世界遺産地域の、
『ハルシュタット-ダッハシュタイン』および『ザルツカンマーグート』にて、発掘調査を開始。
最新分析技術を駆使しての調査
それらの地域で、先史時代の塩採掘場から採取した古代の糞便検体(古糞便)を解析しました。
調査内容は、古糞便に存在すると思われる「微生物」「DNA」「タンパク質」などの詳細です。
顕微鏡や《目ゲノム》、《プロテオミクス分析》と呼ばれる、最新分析技術が駆使されました。
その結果、研究チームは、かつてそこに住んでいた人々の食生活を、再構築することに成功!
また、古代人の腸に棲息していた微生物についての情報も、得ることができたそうです。
古代から人間の健康は腸内細菌がカギ!
今回の発見で、腸内の微生物は、古代より、人間の健康に重要な役割を果たしていることも認識できました。
食事調査によると、様々は穀物の《ふすま》と《もみがら》が、当時の一般的な植物の断片の一つであったそうです。
当時の人たちは、穀類から炭水化物を摂り、ソラマメからタンパク質を摂り、時々、果物やナッツ、狩猟で得た動物性タンパク質を食べていたようですね。
ブルーチーズやビールも製造していた!?
研究者たちが、一番驚いた事実は、微生物解析の際、現在の発酵食品に使われる《真菌類》の発見です。
ブルーチーズの製造工程に必要な≪Penicillium roqueforti≫や、ビール酵母して知られる《Saccharomyces cerevisiae》といった微生物が、古代人の腸内細菌から見つかったのです。
しかも、豊富に!
この事実から、
《ゲノムワイド分析》という最新の分析技術から、当時の人々は、鉄器時代には、ヨーロッパでブルーチーズとビールの製造を、既に開始していた証拠となる。
と、研究者たちは述べています。
古代人の食生活と加工食品の歴史が塗り替えられる?
今回の発見をふまえ、研究者たちは、
ハルシュタットの先史時代の塩採掘者たちの生活に、新し光を当て、古代の料理慣行の理解を可能にしました。
当時の料理は、想像以上に洗練されています。
複雑な加工食品や発酵技術は、古代人類の初期の食の歴史において、重要な役割を果たしてきたことが、明らかになったのです。
と述べています。
※参考:『最新生物学』
さいごに
今では、当たり前のように利用されているチーズなどの加工食品や、ビールなどの醗酵食品(飲料)には、製造工程の歴史があります。
今日のビールは、古代人類の、《古の知恵》だと思うと、感慨深いものがあります。
これから年末にかけて、忘年会シーズンに入りますが、ビールのアカデミックな歴史を想像しながら、感謝していただきたいものですね。
アメリカ人は世界で一番!加工食品を食べている? ニューヨーク大学・研究
アメリカのニューヨーク大学の研究によると、アメリカ国民は、過去20年間で、世界で一番≪超加工商品≫を食べている人種になるのだそう!?
ハンバーガーやファストフード、ファミレスの発祥地なので、頷けますね。
詳細を見てみましょう。
アメリカ国民の食生活は≪超加工食品≫?
研究チームは、アメリカの『国民健康・栄養調査』2001~2018年までのデータを解析。
のべ人数は、4万人以上の成人とのことです。
データを分析した後、以下の4つにグループ分けしました。
- 野菜、果物、穀物、肉類、乳製品など、最小限の加工しかされていない食品(ホールフード)
- オリーブオイル、バター、砂糖、塩などの加工食材
- チーズ、魚の缶詰、豆の缶詰などの加工食材
- 冷凍ピザ、ソーダ水、ファストフード、スイーツ、塩見スナック、缶詰スープ、朝食用シリアルなどの超加工食品
その結果、4の摂取量は、国民の半分以上になるそうです!?
過去20年のアメリカ国民の食生活変遷
年代別に統計をとると、以下のような結果となりました。
いずれも、超加工食品の摂取量はカロリー比となります。
※前項の4の食品を摂っていた人たちの統計です。
- 2001~2002年 53.5%
- 2017~2018年 57%
ホールフード(健康食)の摂取量は減少傾向に
前述の【1】にグループ分けされた、野菜などのホールフードについても、詳細結果が分析されました。
こちらも、ホールフードの摂取量は、カロリー比となります。
- 2001~2002年 32.7%
- 2017~2018年 27.4%
この要因は、肉類や乳製品の摂取量が少なくなった傾向もあるようです。
経済格差に関係なく、アメリカ人は加工食品がお好き?
世帯収入など、収入などの要因からも統計が摂られました。
しかし、収入に関係なく、ほぼ全ての人口集団で、≪超加工食品≫の摂取量が増加していることも判明!
人種別でみると、ヒスパニック系成人は、非ヒスパニック系白人や黒人と比べて、≪超加工食品≫の摂取が、有意に低下しており、ホールフードの摂取が増加していました。
高学歴の人ほど健康食?
学歴別に調査してみると?
大卒以上の人たちは、超加工食品の摂取が、他の学歴層の人たちよりも、低いことがわかりました。
60歳以上の高齢者の加工食品摂取率が高い?
この調査で、一番問題とされたのは、健康に配慮しなければいけない、60歳以上の高齢者において、≪超加工食品≫の摂取率が、格段にUPしていたことです。
調査を開始した2001年当初は、高齢者の加工食品摂取率は、一番低かったのです。
しかし、20年の変遷で、
「もっともホールフード(健康的な食材)を摂取しない集団」
と化していたのです。
アメリカの慢性疾患人口の増加原因は食生活?
アメリカ国民の≪超加工食品≫の摂取量が増加した事実により、研究者たちは、こうした食品を摂り続けているため、慢性疾患に罹る人口が増えた、と見ています。
行政は、
- 『食事ガイドライン』の改訂
- マーケティングの制限
- 包装表示の変更
- ソーダ水など加糖飲料の増税
などの方策を講じる必要があるようです。
野菜などのホールフードを買いやすい価格に!
また、アメリカでは、健康的な食材ほど、高価な傾向があります。
そのため、野菜や果物、魚介類、肉類、卵などの生成食品(ホールフード)を、特に社会的弱者でも、入手しやすい価格で購入できるような施策が必要だと、述べています。
※参考:『米国臨床栄養学雑誌』
さいごに
アメリカでの研究報告ですが、日本でも、ファストフード店やコンビニが、各駅にありますし、≪超加工食品≫の摂取率は、増えていることでしょう。
日本では、伝統的な和食の総菜やサラダも購入できるので、自炊しない場合は、選ぶメニューを考えて購入したいですね。
市販の粉ミルクの臨床報告は80%があいまい? イギリス・研究
日本でも多くのママが利用している《粉ミルク》。
イギリスでは、粉ミルクの臨床試験の結果が、正しいか否か?
問題になっているようです。
詳細をみてみましょう。
粉ミルクの臨床試験は好ましい結論が出ていない?
粉ミルクの臨床試験は、思い込みや偏った調査結果になってしまうリスクが高いそうです。
そのため、ほとんどの場合、好ましい結論を報告できていないのだそう。
こうした懸念は、イギリスの《インペリアル・カレッジ・ロンドン》などの共同研究により、わかってきたものです。
2製品以上の粉ミルクを比較検討
研究チームは、前述の理由により、2製品以上の粉ミルクを比較検討しました。
3歳未満の、約23,000名の子供たちを含む、125件の臨床試験結果を分析しました。
測定指標は、以下の通り!
- 体重増加:36%
- 腸の健康維持:26%
- 栄養素吸収:10%
- 行動:6%
- アレルギー:6%
という、平均値になりました。
製造メーカーと独立機関によって調査結果が違う?
前述の詳細結果は、125件の臨床試験結果の平均となりますが、研究班がさらに解析した結果、意外な事実も判明!
臨床試験結果の17件については、粉ミルクの製造会社独自の結果ではなく、独立機関によって実施されていたのです。
一方で、26件は、明確な目的をもって、前向きな調査結果を製造会社自らが、登録していました。
また、11件だけ、一般に閲覧できるレベルの調査結果を公表していました。
80%の製造会社が不適切な報告?
上記の例は、全体の20%に過ぎません。
残りの80%の製造会社が発表した臨床試験結果は、
- 分析からの参加者の不適切な除外
- 望ましくない所見を控えるため、主要結果の詳細に偏りが見られる
という結果に!
90%以上の臨床報告が、とても良い結論で締めくくっていましたが……。
それは、公表したくない部分をうやむやにしたい!
という、製造会社側の思い込みや理想を報告している可能性が高いという、事実が判明しました。
市販の粉ミルクの研究報告は透明性がない?
この分析結果をふまえ、研究者たちは、
粉ミルク業界は、粉ミルクの臨床試験に、密接に関与しています。
調査結果は、ほとんどの場合、好ましいものと報告されていました。
しかし、試験の目的や結果の報告については、ほとんど透明性がない。
と言いきっておられます。
さらに、以下のような発言も!
今回の調査結果は、参加者を危害から適切に保護し、購入者の誤解を招く情報から保護するために、粉ミルク試験の実施と報告を大幅に変更する必要性を、裏付けています。
※参考: 『英国医学雑誌(BMJ)』
さいごに
正しい研究報告を発表しているのが、20%とは、驚きですよね。
イギリスの実態ではありますが、日本でも、粉ミルクを購入する際は、気をつけたいですね。
製造メーカーが公表しているエビデンスなどを、ホームページなどで、しっかり確認してから購入しましょう。
子供の肥満予防は低脂肪乳である必要はない? オーストラリア・研究
欧米では、小児肥満問題が深刻です。
そのため、学校給食で低脂肪乳が提供されている国もあるようですね。
しかし、成長期のお子さんに、必ずしも低脂肪乳を飲ませる必要はないようです!?
オーストラリアの最新・臨床栄養学研究の詳細を見てみましょう。
小児肥満の予防は全脂肪乳でも問題ない?
オーストラリアのエディスコーワン大学の研究によると、全脂肪乳は、低脂肪乳と同じくらい、子供の成長に良い、という事実がわかってきました。
公衆衛生面で、
「2歳以上の子供に、低脂肪乳製品を推奨する」
としている、国や自治体もあるかもしれません。
しかし、研究チームの調査によると、必ずしも「低脂肪乳が良い」とも、「全脂肪乳が悪い」とも言えず、どちらも同様に、子供の成長に寄与するとのこと。
4~6歳児を対象に3ヶ月の追跡調査!
研究チームは、4~6歳の健康な子供を対象に、2つのグループに分けて、調査を実施!
2つのグループには、以下の内容の乳製品を3ヶ月間、摂ってもらいました。
- 通常の乳製品の代わりに全脂肪の乳製品を
- 低脂肪の乳製品
上記の乳製品は、2週間ごとに無料で、参加者に宅配されました。
また、摂取量については、乳製品の残量を2週間ごとに測定してもらいました。
どちらの乳製品でも肥満や心血管のリスク因子に関与しない?
子供たちは、低脂肪乳か全脂肪乳かの関りなく、食品から同量のカロリーを摂取していました。
2の低脂肪乳を摂っていた子供たちは、乳製品からの摂取カロリーと、摂取脂肪が低下していましたが、自然とそれを補う食品を、他の食材や飲料から摂っていたそうです。
そして、1と2のグループ、両方とも、肥満や心臓血管系のリスク因子に、有意差は見られなかったとのこと!
特に健康な子供は低脂肪乳を摂る必要はない!
この結果を踏まえ、研究者たちは、
健康な子供の場合、全脂肪乳を摂っていても、肥満の増加や心臓代謝への悪影響がない事実が判明しました。
今回の研究と、以前の研究結果を考慮して、食事ガイドラインの将来の改訂では、
『2歳以上の子供が、全脂肪または低脂肪乳製品を摂取することを、いずれも推奨する』
という項目を、検討する必要があるでしょう。
と述べています。
※参考:『米国臨床栄養学雑誌』
さいごに
せっかく低脂肪乳で、乳製品のカロリーや脂質を減らしても、お子さんは、自然と代替え食品を食べてしまうようですね。
低脂肪乳は、人工的に調整や加工を施しているので、成長期のお子さんには、一般の牛乳摂取で大丈夫! という事実がわかりましたね。
科学的根拠あり!? 眠れない夜はホットミルクを! 中国・研究
昔から、「眠れない夜はホットミルクを飲むと良い」と言われていますよね。
中国の最新・食品化学研究によると、この説の科学的根拠が実証されたようです!
詳細を見てみましょう。
ホットミルクは睡眠を誘う?
中国の華南理工大学の研究により、冒頭のような事実がわかってきました。
牛乳に含まれる特定のペプチドが、ストレスを和らげ、深い睡眠へと誘ってくれるようです!
今までの研究でも、牛乳に含まれるアミノ酸《トリプトファン》が、質の良い睡眠の助けになることがわかっていました。
今回の研究では、これまでの研究と違い、《カゼイン・トリプシン加水分解物》と呼べれる、牛乳独自のペプチドの混合物が発見され、この成分が質の良い睡眠につながるようです。
アメリカでは成人の1/3が睡眠障害?
アメリカの《疾病予防管理センター》の調査結果によると、アメリカの成人の約1/3もの人々が、充分な睡眠を取れていない、という結果が出ています。
こうした人々は、睡眠障害の際に処方される一般的な睡眠導入剤《ベンゾジアゼピン》や《ゾルプデム》などが処方されています。
しかし、これらの薬物には、副作用や依存性の懸念がありました。
多くの睡眠導入剤は、脳の興奮を抑制する脳内のタンパク質《GABA》受容体を活性させて、睡眠作用をもたらします。
寝る前のホットミルクなら副作用の心配なし?
そこで、研究チームは、GABA受容体に結合して、抗不安・安眠の働きを持つ、複数の天然ペプチドを、牛乳の中から発見しました。
例えば、カゼインと呼べれる牛乳のタンパク質は、消化酵素の《トリプシン》で処理すると、睡眠促進ペプチドの混合物を生成する事実が確認できたのです。
さらに!
この中に含まれる《α-カソゼピン》というペプチドには、睡眠促進作用のいくつかに関与する可能性があったのです。
動物実験で確認できた事実とは?
研究チームは、マウスを利用した動物実験で、さらなる牛乳の睡眠効果を確認!
まず、マウスの睡眠実験で、天然ペプチドの効果を比較。
すると、前述の《α-カソゼピン》というペプチドが、有意に睡眠増強につながる特性があることを発見しました。
さらに、ホットミルクを飲んだ後、胃の消化中に放出された活性ペプチドを特定し、GABA受容体への結合や、血液が脳関門を通過する能力にていても、調査しました。
寝つきの良いマウスよりもホットミルクの方が睡眠を増大?
調査の結果、元々、寝つきの良いマウスと比較しても、ホットミルクを飲んだマウスのほうが、《α-カソゼピン》の働きで、25%も眠りに就くのが早く、質の良い睡眠時間を、400%も増加できたそうです。
この結果を踏まえ、ホットミルクを与えると、睡眠効果が予想以上に期待できるため、他にも、牛乳には、睡眠に関与する成分が発見できるかもしれない、と研究者たちは述べています。
※参考:『農芸・食品化学雑誌』
さいごに
仕事中にホットミルクを飲むと、集中力がなくなってしまいそうですね。
しかし、日本でも睡眠障害や不眠症で悩む人口は増えています。
心療内科の門をたたいて、睡眠薬をもらう前に!
ホットミルクを試してみると、睡眠効果が期待できるかもしれませんね。