母乳は赤ちゃんの腸内細菌叢にどう影響するの? アメリカ・研究
母乳栄養は、ママにとっても赤ちゃんにとっても健康に良い影響を与えると言われています。
そして赤ちゃんの腸内細菌叢にも!
具体的なことがわかってきたので、アメリカの最新研究の詳細を見てみましょう。
赤ちゃんの腸内細菌叢に及ぼす母乳の影響とは?
アメリカのコーネル大学の研究によると、母乳育児で育った赤ちゃんの腸内細菌叢には、ビフィズス菌が豊富なことが明らかになってきました。
まだ動物実験の段階ですが、研究ではマウスを利用し、「スフィンガニン」というヒト母乳由来の栄養素を与え、経過を観察しました。
画像処理技術によって、腸内細菌を観察し、スフィンガニンを取り込む腸内細菌を赤く、それ以外の微生物を青くする方法がとられました。
母乳育児で育った赤ちゃんほど腸内細菌叢が良い?
スフィンガニンはスフィンゴ脂質とも言いますが、この脂質を代謝する2種類の腸内細菌が特定されました。「バクテロイデス」と「ビフィズス菌」です。
バクテロイデスは、善玉菌としても活躍しますが、それほど有益ではない「日和見菌」にも関与しています。
一方のビフィズス菌は市販製品も多く出回るほど極めて有用な「善玉菌」として働くので、バクテロイデスよりも、腸内細菌叢をよくすると考えられています。
どちらの菌も、母乳育児で育った仔マウスの腸内細菌叢に豊富にみられることがわかりました。
母乳哺育は質の良い脂質で腸内細菌叢を作る?
この結果、研究者たちは、
母乳哺育で育った赤ちゃんは、母乳の大部分を占める食事性脂質から良質な脂質を得ることができ、その脂質が、赤ちゃんの腸内細菌叢と強力に相互作用していることがわかりました。
と述べています。
※参考:『脂質研究雑誌』
さいごに
アメリカでの研究で、まだ動物実験の段階ではありますが、人間も哺乳類の動物なので、母乳哺育か否かは今後の赤ちゃんの将来に重要なことです。
ヒトの腸内細菌叢の良しあしは、赤ちゃんの時に決まる!? とも考えられているので、できる限り、母乳哺育を見直したいですね。