アメリカの乳児は健康な腸内細菌が欠乏している!? 米・研究
アメリカでのお話になりますが、今、アメリカの乳児は、腸内環境が悪い状況にあるそうです!?
日本でも、食生活や生活スタイルが欧米化しているので、大いに参考にすべきことかもしれません。
どういったことが問題となっているのでしょうか?
アメリカの最新研究の報告を見てみましょう。
乳児の腸内環境は人工栄養とオムツかぶれで悪くなる?
アメリカのイヴォルブ・バイオシステムズ社などの共同研究により、現代のアメリカの乳児は免疫系を司る腸内細菌が欠乏していることが、わかってきました。
理由は、母乳栄養から得られる免疫系の発達がないこと。
そして、疝痛やオムツかぶれの原因となる病原体の保護を司る細菌が欠落しているようです。
これは、粉ミルクによる人工栄養や、質の悪い安価なオムツなどが原因しているかもしれません。
アメリカの乳児の10人中9人までの腸内が危ない?
研究によると、アメリカの乳児は、おそらく10人中9人までが、『ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium longum subsp. infantis)』という免疫系の細菌が腸内に潜んでいないそう!
この細菌は、ビフィズス菌の一種で、乳児の腸の健康には、とても大切なものです。
母乳から栄養を得ている赤ちゃんの腸内には、存在しているそうです。
これぞ、母乳栄養の重要なメリットですね。
米国5州の生後6ヶ月の乳児を調査!
研究チームは、アメリカの5州において、生後6ヶ月未満の乳児227名を対象に、糞便検査を開始!
カリフォルニア州、ジョージア州、オレゴン州、ペンシルベニア州、サウスカロライナ州の5州です。
糞便検査は、母乳を完全に利用できる細菌の能力が評価され、抗生物質の耐性菌が在るか否かも確認されました。
解析の結果、ビフィズス菌は、研究者たちが期待するほど豊富には存在しませんでした。
含まれていた最近は、ヒト母乳由来のオリゴ糖の代謝能力が遺伝的に備わっている「B.ブレヴェ」「B.ロンガム」「B.ビフィダム」の3種ほどだったそうです。
また、抗生物質の耐性菌「B.インファンティス」を持つ乳児は、極稀な存在であることもわかってきました。
乳児の大多数は重要な腸内細菌が不足!
この結果をふまえ、研究者たちは、
乳児の大多数に、生後数週間目に必要とされる腸内細菌が不足している状態です。
これは、ほとんど親と小児科医の想像を超える、深刻な悪環境でもあります。
と述べています。
リスクを有する細菌が93%を占める!?
また、恐ろしいことに、潜在的にリスクを有するという腸内細菌が、なんと乳児の腸内細菌の93%も占めていることも、発見されました。
乳児の腸内細菌には、一般に抗生物質耐性遺伝子があると言われています。
今回の解析では、325種類のものが見つかりました。
しかし……研究者たちは、以下のように警鐘を鳴らしています。
乳児の腸は、出生時には白紙の状態です。
しかし、母親や生活環境から、急速に様々な細菌を獲得します。
身体に良い細菌が大幅に不足しているだけではなく、潜在的な病原菌が非常に多く存在していたことに驚きました。
それも広範囲に広まっていたのです。
アメリカの乳児の腸内細菌叢は、明らかに機能不全に陥っています。
これが今日の、全米で見られる乳幼児期の病気の原因になっていることは、明らかだ!
と述べています。
※参考:『サイエンティフィックレポート』
さいごに
アメリカの研究報告ではありますが、日本でも、人工栄養が中心になりつつあるので、注意したいですね。
この研究でも、「母乳栄養」がいかに優れているかがわかりましたね。