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腸と脳の相関関係とは?腸内細菌は脳細胞やうつ病に影響か?米・研究

腸は「第二の脳」と言われるようになって、久しくたちますね。
アメリカの最新研究で、腸内細菌と脳細胞のコミュニケーションに新たな細胞分子プロセスがあることが発見されました。
あの『ネイチャー』に載った研究結果では、どのようなことがわかったのでしょうか?
詳細を見てみましょう。

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腸内細菌と脳細胞の関係とは?

これまでの研究で、炎症性の腸疾患や、その他消化器系の慢性症状が、ヒトの精神や行動にどのような影響を及ぼすかはわかっていませんでした。

しかしアメリカのワイルコーネル医科大学の研究では、その全容が理解できる新しい方法が開発できたと、発表しています。
すなわち、腸内細菌と脳細胞にやはり影響していることがわかったのです。

腸内細菌がないと脳の学習機能は低下?

研究では、マウスをモデルに用いて、腸内細菌叢の調査を開始!
抗生物質を用いて、マウスの腸内から腸内細菌を減少させ、無菌室で飼育されたマウスと、普通の環境で飼育されたマウスとを、比較検討しました。

その結果、前者の腸内細菌を減少させたマウスは、著しく脳機能が低下いることがわかりました。特に学習能力が有意に低下していたのです。

優良な腸内細菌がないと脳の免疫細胞に影響?

その分子メカニズムを明らかにするために、研究者たちは脳のミクログリアという免疫細胞中のRNA配列を調べました。
※RNA(DNAのコピーのこと)

そうすると、学習プロセス中に脳細胞の結合を変化させる役割がある「遺伝子発現」が変化していたのです。
健康なマウスの脳内ミクログリアでは、こうした変化はみられませんでした。

優良な腸内細菌がないとうつ病や自閉症のリスクが高い?

また、無菌マウス(腸内細菌を減少させたマウス)の脳内で、どのような化学変化が起こっているかも調べられました。
そうすると、「統合失調症」「自閉症」「うつ病」など、ヒトでいう神経精神障害に関連することもわかったのです。
優良な腸内細菌が体内にないため、脳でいくつかの代謝産物の濃度が変化しており、こうした精神疾患にかかりやすいのだそうです。

腸内細菌が回復すると学習能力もうつ病も改善?

しかし、腸内細菌叢が回復すると、学習能力も神経性の精神障害も改善の兆しはあるようです。
研究ではマウスの出生時から、様々な年齢で腸内細菌叢を回復させる実験を行いました。
そうすると、マウスの学習能力が正常化したのです。
ただし、年齢別にいうと出生時の回復が一番効果的だったようです。
※参考:『ネイチャー』

さいごに

まだ動物実験の段階ですが、マウスは人間と生体構造が非常に似ているので、多くの動物実験に用いられ、その成果はほぼヒトでも同様のことが起こっています。
この実験結果も、100%人間とマッチするとは限りませんが、ほぼ人間も同じメカニズムをたどると考えていいでしょう。
気分が塞ぎがちな人は、うつ病などの精神疾患を疑う前に、腸内環境を整えておくと、改善が早いかもしれませんね。
また風邪やインフルエンザで抗生物質を処方されている人は、腸内細菌も一緒に減ります。医師と相談して、腸内細菌が減少しない薬も一緒に処方してもらうようにしましょう。