AnnaBabyTokyo

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成長期のお子さんに低脂肪乳は不向き?一般の牛乳を!オーストラリア・研究

今は世界中で小児肥満が増えています。
その対策に、成長期のお子さんに「低脂肪乳」を推奨している国も出てきているようですが、こと「成長期」に限っては無意味なようです!?
一体どういうことなのでしょうか?
オーストラリアの最新研究を見てみましょう。

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全脂肪乳を摂取しても小児肥満に影響なし?

オーストラリアのエディス・コーワン大学の研究によると、全脂肪乳を摂取している成長期の子どもに肥満や心疾患リスクの上昇は特に見られないことがわかってきました。
ここでいう「全脂肪乳」とは、脂肪分を抜きとっていない一般の牛乳や、搾りたてに近いジャージー牛乳などを指します。

冒頭で述べたように、低脂肪乳の乳製品を子どもにも推奨している国々が増えてきましたが、そこまでしなくてもいいようですね。

この研究は、子どもの全脂肪乳製品の摂取状況を調査した論文を世界中から29点集め、そのデータをもとに分析した結果です。

全脂肪乳製品の摂取と子どもの健康被害は関連なし?

研究では、世界中から集めた論文をもとに、全脂肪乳製品を摂取していた子どもたちのデータを解析。
項目は、

  • 体重増加
  • 高コレステロール
  • 高血圧

の3つ。
これらを解析したところ、全脂肪乳製品の悪影響は見られなかったようです。

そこで、研究者たちは、オーストラリア国内の子どもの食生活データを解析しました。

低脂肪乳で育つと他の食品で脂肪を摂ろうとして肥満に?

オーストラリアも子どもに低脂肪乳を推奨している国の1つです。
オーストラリアの食事ガイドラインによると、

子どもたちが健康的な体重と心血管の健康を維持するため、主に低脂肪乳製品を摂取することを推奨する。

となっているそうです。
研究者たちは、前述の29の論文の解析結果は、いずれも「全脂肪乳製品は子どもの体重増加や肥満レベルの上昇と関連しない」と結論づけていることから、このガイドラインに疑問を感じ、さらに調査を開始。

その結果、低脂肪乳製品を摂取している子どもたちは、成長に必要な脂肪分を牛乳から補えないため、他のカロリーの高い食品で満たしている傾向が高いようです!
すなわち、質の低い食品(ジャンクフードなど)で脂質を満たしていると、かえって肥満リスクが高くなる、ということです。

子どもに低脂肪乳製品を与えると全体の食事バランスが偏る?

研究者たちは、

小児肥満が重要な問題であるために、国は低脂肪乳製品を推奨していたのだが、これでは、かえって食事の質が落ちてしまっている。
今のガイドラインは、きちんと「エビデンスに基づくガイドライン」とは言えないので、さらに研究を進めて、質の高いエビデンスを集める必要がある。

と述べています。

全脂肪牛乳は優れた栄養価を持つ!

牛乳も本来は、牛が子牛に飲ませるものなので、栄養価が豊富です。

乳製品には、

  • タンパク質
  • カルシウム
  • カリウム
  • リン
  • 複数のビタミン類

などが豊富に含まれているので、成長期のお子さんの発育には貴重な栄養源となります。
全脂肪乳製品に含まれる脂肪は「飽和脂肪酸」ですが、脂身の多い肉と違い、健康を害するほどの量は含まれていません。

現在、研究者たちは、質の高いエビデンスを得て、国のガイドラインを変更できるよう、実際に子どもたちに協力してもらって、全脂肪乳製品と小児肥満の関連がないことを証明できるよう、さらなる研究を進めています。
その解析結果は、2020年の中ごろにはわかるそうです!
※参考:『栄養学の進歩』

さいごに

大人になると牛乳の摂取は控えるべきでしょうが、お子さんにとっては大切な栄養源です。
日本の学校給食では、全脂肪乳製品が提供されていますが、お家で低脂肪乳製品を与えている場合は、大人とは別に全脂肪乳製品を飲ませてあげましょう。
パッケージをよく見ると「加工乳」と書かれているものもあります。
お子さんには、出来る限り自然な牛乳「加工乳」ではないものを選んであげましょう。
ちなみに低脂肪乳は「加工乳」です。