食生活は親自身が子どもの影響を受けている?カナダ・研究
お子さんが「お菓子ばかり食べて困る」と悩む親御さんも多いことでしょう。
可愛さあまって、ついついお子さんが好むお菓子を買い与えてしまうこともあるでしょう。
お子さんのわがままに屈した後、あなたは何を食べているでしょうか?
それをお子さんが見ていて、その後の食生活に反映されるそうです!?
カナダ最新の「食欲」にまつわる研究の詳細を見てみましょう。
お子さんの食育は、まず周りの大人が食生活を改善すること?
一般には、お子さんの食育にはまず、親をはじめベビーシッターや、祖父母、幼稚園教員など、周りの大人がまず、食生活を改善する必要がある! と思われがちですよね。
それも間違ってはいないのですが、カナダのアルバータ大学の研究によると、意外な食行動の特徴がわかってきました。
研究者たちは、まず子ども食行動を観察!
学校給食で、子どもたちに好物を詰めてもらうよう指示し、様々な状況を設定して、子どもたちにどんな食べ物を選ぶべきか「意思決定」をしてもらいました。
いわゆる「フィールド調査」です。
その様子や子どもが選んだ食品を、その子の親をはじめ周りの大人が「どう感じたか」を調査! これが最も重要なようです。
この実験により、見えてきたものは……!?
お子さんに食事を与えた"後"の大人の行動が肝心!
実験の結果、子どもの親(周りの大人)をまず2つのパターンに分類しました。
- 【A】子どもが求めたスナック菓子を与えていた親達
- 【B】子どもに親自身の好みの食品を与えた親達
この2種類です。
【A】の親を持つ子どもたちは、【B】の子どもたちよりも、健康的ではない食品を食べる個数が2.7個少なく、健康的なスナックを1.9個多く食べていることがわかってきました。(個数は全体の平均値)
この意味は?
研究者たちは、この理由として、子どもの世話をする親たち自身が「どう思っていたのか」という気持ちの表れだと言います。
その理論は、
【A】の親たちは、【B】の親たちよりも子どもの言いなりになってしまったため、自分に「無力感」を感じてしまいます。人は自分を無力だと感じた時、それとは反対に「健康的な食事の選択」を行うもの。
ということだそうです。
親のこうした姿を子どもたちは見ており、いざという時は、お菓子ではなく、健康的な食品を選択する子どもになっていたのです!
親が子どもに食べ物を強制すると……?
一方、【B】の親たちの子どもはどうなのでしょうか?
【B】の親たちは、しつけの一環として、日頃から子どもたちにケーキではなく、フルーツを食べるよう、子どもに無理やりにでも食べさせようとしています。
これが成功すると、自分たちは「自分へのご褒美」と題して自分たちだけケーキやスナック菓子を食べている傾向が高いそうです!?
やはり子どもは親の背中を見ており、いざという時は、日頃自分が食べたかったもの、つまり「不健康なケーキやスナック菓子」を選んでしまう子に育ってしまうそうです。
ただし、これは統計的な結果であり、全て親子がこのパターンに当てはまるわけではない、ということはご了承ください。
子どもが選択する食品を親も食べてしまいがち
お子さんの嗜好は、家庭だけではありませんよね。
学校などで流行りのお菓子などを聞いてきて、家で食べたがる場合もあります。
親もまた子の影響を受けており、お子さんと一緒に食事をするときは、お子さんが食べたい物につられてしまうようです。
これは菓子類に限ったことではなく、大人だけならレストランに行くのに、お子さんと一緒ならファストフードやハンバーグなどが食べられるファミリーレストランへ行くなども、親が子の影響を受ける食行動パターンだと分析されています。
大人が持つ「共通の罪悪感」とは?
研究者たちは、大人は子どもの健康を考えて、おやつに果物を与えるが、その前で自分たちだけケーキなどの菓子類を食べることを「偽善者」だと感じてしまう、共通の思いがある、と言います。
こうした大人の思いやお子さんの思いが交差して、やがてその子が成人した時に食の「嗜好」が形成されるのですね。
今はどこの国でも「こしょくの時代」と言われています。
「こしょく」は、孤食、個食、小食を指します。
独りで食べたり(孤食)、周りとそれぞれ違うものを食べたり(個食)、食事の量が減っていたり(小食)すること。
研究者たちは、お子さんを囲み、家族そろって食事を摂ることが、一番の健康維持につながると述べています。
※:『食欲』
さいごに
大人の食生活も、かつて子ども時代に育まれたものですが、やはり周りの大人がお子さんの食行動を「強制」してはいけない、ことにかかっているようですね。
そして大人もまたお子さんから学ぶことも多いということがわかりましたね。