AnnaBabyTokyo

仕事・子育て・健康・栄養~働く女性を応援する情報ブログ

健康診断の数値~肝機能検査編AST,ALT,γ-GTPとは?

10月に入り、そろそろ健康診断の時期がやってきましたね。
結果を見て、異常なしと喜んでいても、数値で範囲が決められているので、ギリギリセーフなだけで、実は何かの予備軍かもしれません。
またその数値の意味も理解できているでしょうか?
本日は40代以降から不調になりやすい肝機能の検査の数値について読み解いていきましょう。

f:id:annababytokyo:20181005133011j:plain

肝機能検査とは?

健康診断で血液検査をすると、3つ分ぐらいの管の血液を採取されますよね。
一般的な血液検査のためだけではなく、血液から肝機能検査用と、血中脂質検査用、糖代謝用とだいたい計3~4本分採取されるのが一般的です。

その中の肝機能検査に注目してみましょう。
検査の目的は、特に飲酒習慣のある人やスイーツ好きの人はダメージを受けやすい肝臓に障害が出ていないかを検査するものです。

主な目的は以下の6つです。

  1. 肝細胞の壊死、損傷を反映する酵素の数値
    AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHなど
  2. タンパク合成能を反映するもの
    アルブミン、血液凝固因子
  3. 肝細胞の代謝・排泄能を反映するもの
    ビリルビン、アンモニア、インドシアニングリーン(ICG)など
  4. 胆汁うっ滞を反映するもの
    アルカリホスファターゼ(ALP)、γ-GTP、LAPなど
  5. 肝の炎症を反映するもの
    血清タンパク分画、γ-グロブリン分画、血清膠質(こうしつ)反応
  6. 肝炎ウイルス、腫瘍マーカーなど病院に関するもの
    B型、C型肝炎ウイルス抗原・抗体、α-フェトプロテインなど

となっています。
※参考文献:『臨床栄養学』佐藤和人他著、医歯薬出版

健康診断表を見ると「AST(GOT)」や「ALT(GPT)」と共に数値が並んでいますが、上記1~6の目的で行われているのですね。
これでもよくわからないと思うので、1つずつ詳細を見てみましょう。

AST(GOT)の数値とは?

基準値は「AST」表記の場合は、13~35U/ℓで、「GOT」表記の場合は、10~40IU/ℓとなっています。
ASTは肝臓や筋肉の細胞、または赤血球に存在しています。
これらの細胞の壊死や破壊によって血中にあやまって流れてきます。
そのため、この数値が基準値を超えて高値になった場合は、医療機関での溶血や、運動習慣を取り入れることを考慮に入れなけばいけません。

  • 高値になった場合 急性肝炎、劇症肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓ガン、胆管結石、心筋梗塞、筋肉疾患などのリスクが高くなるでしょう。

ALT(GPT)の数値とは?

基準値は「ALT」表記の場合は8~48U/ℓ、「GPT」表記の場合は5~45IU/ℓとなっています。
ALTは主に、肝細胞に存在する酵素で、この値が上昇すると、肝細胞の壊死や破壊の程度を反映していることになります。

  • 高値になった場合 急性肝炎、劇症肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓ガン、肝管結石などのリスクが高くなるでしょう。

LDH(LD)の数値とは?

基準値は109~210U/ℓとなっています。
LDHは体内のすべての細胞に存在するので、この値が高くなった場合、体内のどの組織由来で高くなったかを調べる必要も出てきます。

  • 高値になった場合 心不全、心筋症、心筋梗塞、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、皮膚筋炎、関節リウマチ、悪性腫瘍、悪性リンパ腫、急性白血病などのリスクが高くなるでしょう。

γ-GTP(γ-GT)の数値とは?

基準値は、男性で7~60U/ℓ、女性で7~38U/ℓとなっています。
肝内では、肝管系細胞に分布しています。
飲酒によって高値になることが多い数値ですが、飲酒すると必ず高値になるわけではありません。

  • 高値になった場合 アルコール性肝障害、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ滞、薬物性肝障害、慢性肝炎、肝硬変、肝臓ガン、脂肪肝、胆道疾患などのリスクが高くなるでしょう。

アルカリホフファターゼ(ALP)

基準値は86~252U/ℓとなっています。
肝胆道系の酵素の1種ですが、小腸、骨、胎盤などにも存在する酵素です。
基準値よりも高くなるようなら、どの組織からの由来かを調べる必要があります。

  • 高値になった場合 閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ滞、急性/慢性肝炎、肝膿痬、肝臓ガン、転移性肝臓ガン、悪性リンパ腫、白血病の肝浸潤、サルコイドーシス、骨疾患(骨折、骨軟化症、骨肉腫など)、甲状腺機能亢進症、潰瘍性大腸炎、慢性腎不全、生理的上昇(成長期、妊娠)などのリスクが高くなるでしょう。

コリンエステラーゼ(ChE)

基準値は172~457U/ℓとなっています。
コリンエステラーゼは肝細胞で産生される物質で、高値は高栄養状態を表したり、タンパク質や脂質の合成の亢進を反映していることになります。
また、低値は肝障害と低栄養状態を反映しています。

  • 高値になった場合 脂肪肝、糖尿病、甲状腺機能亢進症、ネフローゼ症候群、肥満などのリスクが高くなるでしょう。
  • 低値になった場合 肝硬変、肝臓ガン、劇症肝炎、低栄養、重症感染症、悪性腫瘍、有機リン中毒などのリスクが高くなるでしょう。

ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)

基準値は20~70U/ℓとなっています。

  • 高値になった場合 胆石、胆嚢炎(たんのうえん)、急性肝炎、アルコール性肝障害、慢性肝炎、薬剤性肝炎、肝臓ガンなどのリスクが高くなるでしょう。

アンモニア

基準値は30~86㎍/㎗となっています。
血漿(けっしょう)中のアンモニアは、通常、肝臓の尿素回路で尿素に変換されます。
アンモニアは外的な要因として、腸管内で食物由来の窒素化合物から腸内細菌によって生成されます。
また内的な要因としては、体内でアミノ酸から生じるケースもあります。
そのため、アンモニアの増加は、肝臓におけるアンモニアの代謝障害と門脈~大循環血流が原因となります。
食事内容が高タンパク食であったり、便秘や消化管出血であると、高アンモニア血症を患うことがあります。

  • 高値になった場合 劇症肝炎、非代謝性肝硬変、ショック、バッドキアリ症候群などのリスクが高くなるでしょう。
  • 低値になった場合 低たんぱく食、貧血が起こりやすくなるでしょう。

長くなりましたが、以上が、代表的な肝機能検査の項目に書かれている数値です。
会社や学校での健康診断では、「AST(GOT)」や「ALT(GPT)」、「γ-GTP」あたりをよく理解しておきましょう。
そしてここでの数値によりD判定が出ると、再検査で詳細を検査することになりますが、他の項目はその際、出てくる数値なので、参考にしてみてください。

さいごに

基準値の範囲内であっても、例えばASTの数値よりもALTの数値の方が高いと「隠れ肥満」の可能性があったり、正常範囲でも危険がある場合があるので、健康診断の数値は、一緒に解説書もついていると思うので、それも熟読するようしましょう。