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アメリカのソーダ税は加糖飲料減少に効果なし? 米・公衆衛生研究

アメリカでは、2型糖尿病、肥満、心血管疾患などの生活習慣病が増えており、深刻化しています。
そこで一部の州では、2017年度から加糖飲料をやめてもらうため、「ソーダ税」という課税制度を実施しました。
しかし、本来の目的であった生活習慣病予防にはつながらなかったようです。
詳細を見てみましょう。

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フィラデルフィアの「ソーダ税」導入は効果なし?

冒頭で述べたような生活習慣病は、若年化しており、小児肥満や小児糖尿病など子どもにも問題が出てきています。
そこで、フィラデルフィアが2017年度から「ソーダ税」を導入!
しかし、アメリカのドレクセル大学の研究によると、加糖飲料全体の摂取量は、結局減らなかったということです。

加糖飲料とダイエット飲料の価格を引き上げたが……

フィラデルフィアでは2017年から「加糖飲料」そして「ダイエット飲料」にも消費税1.5セント(オンス)を課税する取り組みを実施。
金額を上げることで、加糖飲料や人工甘味料入りのダイエット飲料の摂取を辞めてもらい、生活習慣病予防につなげる、という目論見でした。
その後、1年間という長期にわたって飲料摂取の調査を行いました。

対象地域は、フィラデルフィアと以下の近隣都市。
ニュージャージー州内の「トロント」「カムデン」、デラウエア州「ウィルミントン」です。
その後、住民の飲料摂取記録を調査しました。
消費税導入前と、1年後の摂取頻度です。

調査対象となった飲料は、加糖飲料全てとダイエット飲料、代替飲料、ボトル入り飲料水でした。

調査結果の詳細は?

その結果、1年後に加糖飲料の摂取頻度が減少した人の割合は、

  • フィラデルフィアで39%
  • 周辺都市で34%

という結果です。これだけだと、「ソーダ税」導入は功を奏したと言えます。
しかし……
一方で加糖飲料の摂取頻度が増えている人たちもいたのです。

  • フィラデルフィアで39.2%
  • 周辺都市で43.0%

とのこと!

フィラデルフィアではプラスマイナスほぼ「ゼロ」、周辺都市ではむしろ加糖飲料を飲む人の方が増えていたのです。
統計的な数字だけを見ると、「ソーダ税」を導入したところで、効果なしという結果になりました。

飲料水だけ課税しても効果なし?

この結果をふまえ、研究者たちは、

我々は、加糖飲料は2型糖尿病や肥満、心血管疾患、そして他の健康的な問題に関連してくるというエビデンスを持っていた。
そのため、加糖飲料の金額を上げることで、消費が減り、国民の健康維持に役立つと考えた。
しかし、加糖飲料の価格を上げたところで、元々、甘い飲料を飲まない不健康な人たちもいるので、全体としては加糖飲料だけを課税対象にしても影響は与えないのかもしれない。

と述べています。
※参考:『国際環境研究公衆衛生雑誌』

さいごに

たしかに生活習慣病の問題を抱える人は、必ずしも加糖飲料を飲んでいるわけではありませんよね。
スイーツやファストフード、精製小麦を使用したパンや菓子類の消費の方が多いことでしょう。
今後は、砂糖や精製小麦など、食事面で注意喚起を促さないと、生活習慣病患者の数は減らないのかもしれませんね。