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腸内細菌と「睡眠の質」の関係は?カギは食物繊維!? アメリカ・研究

腸内細菌にいい物質として知られる「プレバイオティクス」が、睡眠の質を改善し、ストレス回復力を高めることが、アメリカの最新研究でわかってきました。
腸内細菌は「第二の脳」と言われ、身体の健康や変容と深く関わっていますが、「睡眠の質」とどう関わってくるのでしょうか?
詳細を見てみましょう。

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特定の食物繊維を摂ることで「睡眠の質」が改善される?

特定の食物繊維を摂取るすることで、腸内細菌のエサとなる「プレバイオティクス」が摂れることになります。
腸内細菌とプレバイオティクスが一緒になると、様々な代謝産物を生成しますが、その際に、睡眠の質を改善し、ストレスの回復を高めることが、アメリカのコロラド大学の研究でわかってきました。

食物繊維は、便通をよくするだけではない!

食物繊維の働きは、一般に「便のかさを増して、消化器系を通過し、その際に体内の老廃物を排除してくれる」と考えられてきました。
しかし、食物繊維の働きは、それだけではなかったのです!!!

この研究での発見は、

食物繊維は腸内に住み、ヒトの腸内に常在する腸内細菌など微生物のエサとなることで、私たちの脳や行動に強力な影響を与えていた!

ということが最大のポイントとなるそう!
食物繊維を摂ること、すなわち「プレバイオティクス」はそれほど私たちにとっては重要なことなのです。

プレバイオティクスとプロバイオティクスの違い

もう1つ、よく似た言葉に「プロバイオティクス」というものがあります。
これはヨーグルトやザワークラウト(野菜の漬け物)、そして発酵食品などに含まれる乳酸菌や善玉菌のこと。
これらも腸内細菌のエサになり、腸内環境を良くする「腸活」にいいと以前から注目されていました。
しかし、これだけでは腸内環境は良くならないのです。
ヨーグルトを食べてもさほど、健康維持に役立ってないと思う方や、かえって太ったという方が意外と多いのも、この辺りに原因があるのかもしれませんね。

そこで研究者たちが注目したのが、野菜などから摂る食物繊維「プレバイオティクス」に着目したのです。

「プレバイオティクス」で腸内はどう変わる?

プレバイオティクスは、大腸内の特定の細菌の増殖と活性を選択的に変化させる働きがあります。これにより、宿主に有利な影響を与えてくれるので、私たちの健康を改善してくれるのです。

プレバイオティクスとなる食べ物とは?

プレバイオティクスは野菜や果物、雑穀などに含まれる食物繊維や、てんさい糖などから摂れる「オリゴ糖」が該当します。
特に多いのが、西洋ネギ、アーティチョーク、玉ねぎ、全粒粉穀物です。
また最近では、冷ましたごはんやイモ類に含まれる「レジスタントスターチ」も、食物繊維様として、これにほぼ近い働きをすることで知られています。

プレバイオティクスと腸内の関係は?

コロラド大学の研究では、若いオスのラットを用いて2つのグループに分けました。
標準的なエサを与えたグループ【A】と、プレバイオティクスを混ぜたエサ【B】です。
その後、ラットたちに一定のストレスを与え、生理学的測定値を追跡しました。

その結果、【B】グループのラットたちは、ノンレム睡眠(深い眠り)の時間がレム睡眠(浅い眠り)よりも長いことがわかりました。
また、【B】グループのラットたちは、ストレスが多い日の場合、レム睡眠(浅い眠り)が長くなることもわかりました。
レム睡眠は、ストレスからの回復に不可欠な睡眠です。

一方の【A】グループのラットたちは、体温変動が不自然に平坦化していました。
またストレスが多い日は、腸内細菌叢の多様性が低下していることもわかりました。

【B】グループは、逆にストレスが多い日であっても、腸内細菌叢への悪影響は見られず、むしろ緩和していたそうです。

プレバイオティクスと脳の関係は?

さらに、生理学的測定値の結果を分析し、プレバイオティクスと脳の関係も追跡!
ラットの糞便を分析し、腸内細菌によって生成される身体への影響を解析したのです。

【B】グループのラットたちは、【A】とは違う代謝物の構成要素を持っていることが発見されました。
それは、腸から脳へのシグナル伝達経路を介して、行動力に影響を与える「脂肪酸」「糖」「ステロイド」など、多数の物質レベルが高いことも判明!
またストレスが多い日も同様であったということです。

プレバイオティクスの摂取がないとどうなる?

【A】のプレバイオティクスをほぼ含まない標準食のラットたちは、睡眠障害を引き起こしやすい代謝物「アロプレグナノロン前駆体」と「ケトンステロイド」の著しい上昇が見られました。一方の【B】のラットたちは見られなかったそうです。

これを人間に置き換えると、野菜などからの食物繊維が不足すると、睡眠障害を起こしやすい、ということになりますね。

研究者たちは、この結果をふまえ、

まだ動物実験の段階なので、人間がプレバイオティクスが豊富な食品を摂取するだけで、睡眠の質が良くなるかどうかはまだわからない。
しかし今回の知見から、ストレス緩和の物質を増強し、睡眠妨害となる物質を抑制する治療薬などの開発には、十分役立つだろう。

と述べています。
※参考:『サイエンティフィックレポート』

さいごに

マウスやラットでの実験結果は、様々な研究で、その後、ヒトでもほぼ同様の現象が起きることが多く確認されています。
もちろん、100%同じというわけではありませんが、マウスやラットの人体構造はヒトと類似しているので、今回の研究にも、期待したいですね。
難しい部分もありましたが、ヨーグルトではなく、野菜や果物、穀類の摂取を増やすだけで、睡眠の質が良くなり、ストレスも軽減されるかもしれない、ということです。
やはり健康的な食事に勝るものはないですね。