記憶が形成される際、脳内に飽和脂肪酸が出現?オーストラリア・研究
脳内に記憶が形成される時、脳の脂肪酸レベルは、飽和脂肪酸が増えている事実がわかってきました。
脳の記憶には、オメガ3系脂肪酸が良いと言われていましたが……!?
オーストラリアの最新・脳科学研究の詳細を見てみましょう。
記憶が形成される時、脳内は飽和脂肪酸が増加?
オーストラリアのクイーンズランド大学の研究により、冒頭のような事実がわかってきました。
まだ、ラットを使った動物実験段階ですが、人間の生体構成と似ているため、ヒトでもその可能性が高いでしょう。
感情の記憶が形成される時に飽和脂肪酸が増える?
記憶といっても、様々な事柄があります。
勉強や仕事などの記憶力の他、日々の生活中での記憶(物の置き場所や道順など)、そして、恐怖体験や、強い憤りといった感情の記憶もあります。
特に「感情」に関する記憶が、形成される時に、脳内に飽和脂肪酸量が増えることも判明しました。
脳の60%は脂肪組織
脂肪というと、体脂肪や皮下脂肪など、太るイメージがありますが、脂肪も体内には必要な組織です。
実際、脳の60%は脂肪組織から成っています。
脳内の脂肪細胞には、神経伝達物質を含む微細な組織も存在しています。
また、様々な情報を体内に送るため、シナプスが細胞膜と融合して、細胞間メッセージを伝達する役目もあります。
こうした神経細胞間のコミュニケーションにも、脂肪細胞は不可欠なのです。
脳内の記憶形成と脂肪酸レベルの変化
研究では、ラットを用いて、脳内で新しい記憶が形成される際、脂肪酸レベルがどのように変化されるかを測定しました。
その結果、研究者たちの予想に反して、意外にも脳細胞の飽和脂肪酸レベルの変化が、最も顕著である事実がわかったのです。
脳の健康や記憶には、DHAなどのオメガ3系脂肪酸や植物性脂肪酸や魚油由来の高不飽和脂肪酸の重要性が強調されています。
しかし、この研究では、飽和脂肪酸も無視できない存在だという、予想外の結果となったようです。
※参考:『ネイチャーコミュニケーション』
さいごに
怖い経験やつらい出来事の記憶を形成する際、脳内の飽和脂肪酸量が増えるとは、驚きですね。
動物性食品の飽和脂肪酸が含まれるように、我々人類も動物の一種なので、飽和脂肪酸の存在は、自然なことかもしれませんね。