ビタミンEなどの脂溶性ビタミンは、一般に、「油と一緒に摂るといい」、と言われていますが、近年の栄養研究によると、必ずしもそうしなくてもいいようです。
アメリカの最新栄養研究を見てみましょう。
脂溶性ビタミンの吸収は油なしでもOK?
アメリカのオレゴン州立大学の研究によると、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンの吸収を高めるために、油と一緒に摂る必要はないことがわかってきました。
研究では18歳から40歳の女性にビタミンEを投与し、一緒に脂肪を摂った場合と、摂らなかった場合の、カラダへの吸収率を測定しました。
この実験に参加した女性は、普通体重(非肥満)、非糖尿病、そして血圧も正常範囲内の健康な女性たちです。
そして、ビタミンEの摂取とともに、摂食行動も厳格に管理され、ビタミンEを空腹時に摂った時と、脂質と一緒に摂った時の、カラダへの吸収率が測定されたのです。
その結果、全体の食事内容に40%の脂質を含んでいた場合の、ビタミンEの吸収率は40%でした。
一方の空腹時にビタミンEを摂取した場合、脂質の助けがなくても、吸収率は65%だったのです。※参考:『米国臨床栄養学雑誌』2019年9月
さいごに
この実験は、ビタミンEだけしか行われていませんが、ビタミンEはナッツ類をはじめ、にんじんやカボチャ、マンゴーなど黄色い果肉をもつ野菜や果物に含まれています。
よく「にんじんは油と一緒に摂りましょう」というフレーズを耳にすることがあると思います。
しかし、空腹時、すなわち食事のはじめにサラダや前菜などで食べれば、油と一緒でなくても、カラダへの吸収が良い、ということです。
この発見は、この実験を行った研究者たちも驚いているほどの結果なので、今後の食生活に、大いにいかしたいですね。
ベータカロテンを含む、ビタミンAやビタミンK、ビタミンDなども、そのうち研究が行われていくでしょう。