プロバイオティクスという言葉も、近年の腸活ブーム―にのって、一般化してきましたね。
ヨーグルトやお漬物などから乳酸菌を摂取することをプロバイオティクスと言いますが、腸活だけではなく、骨量の増加にも役立つことが、アメリカの最新研究でわかってきました。
プロバイオティクスは骨形成や骨量UPにつながる?
アメリカのエモリー大学の動物実験で、若いメスのマウスにプロバイオティクスを与えたところ、有意に骨形成が進み、骨量が増加することがわかってきました。
ヨーグルトや漬物などの乳酸菌は、主に「ラクトバチルス属」という菌類が多いのですが、この実験では、「ラクトバチルス・ラムノサスGG」という菌が与えられています。
この菌を与えられたメスの若いマウスたちは、他の腸内細菌が、この菌の影響を受けて、酪酸を生成することに成功。
そしてこの生成された酪酸が、骨形成を促進する「制御T細胞」を活性化していることがわかったのです。
実験対象となったマウスは、この菌をエサに混ぜて摂取しているので「経口摂取」ということになるのですが、4週間食べ続けたところ、腸内の酪酸産生菌の成長が促されたようです。
しかし、腸内細菌を持たない、無菌マウスでは、この菌を与えても、骨形成が進まなかったようです。
※参考:『免疫』2018年11月
ヨーグルトや漬物を進んで食べよう!
マウスでの実験結果ですが、マウスの生体構造は人間と非常に似ている為、世界に向けて、このような研究結果が発表になっているので、成長期のお嬢さんにも同じことが期待できそうですね。
実験では無菌状態のマウスが意図的に準備されていましたが、人間では通常、腸内細菌が無菌となることはほぼ考えられないので、ヨーグルトやお漬物でラクトバチルス属の乳酸菌、すなわちプロバイオティクスを食べて、骨形成に努めたいですね。
成長期の骨形成は将来の骨粗しょう症を防ぐ
人間の骨形成は、二十歳でほぼストップしてしまいます。
そのため、二十歳以降は背が伸びにくくなるのですね。
二十歳までに、きちんと骨形成ができていなければ、その後、骨がもろいまま過ごすことになり、骨粗しょう症のリスクが高くなります。
その上、骨粗しょう症は本来、高齢者の病気ですが、その時期が30代後半や40代と、早くなってしまうかもしれないのです。
骨形成自体は、二十歳でストップしますが、骨量を維持するために、私たちはカルシウムや亜鉛、ビタミンDなどを食事から摂取して、骨量を増やしておかなければいけません。
そのためにも、年齢や性別に関わらず、プロバイオティクスは日頃の食事から摂り入れておきましょう。
さいごに
プロバイオティクスは、ヨーグルトのイメージが強いですが、わざわざ買うのが面倒であったり、乳製品が苦手な方もいらっしゃるでしょう。
そういう場合は、日本伝統の漬け物や、韓国のキムチ、納豆、甘酒などからもラクトバチルス属の乳酸菌は摂取できます。
それに加え、食物繊維(野菜、果物、穀類)や食物繊維様(レジスタントスターチやオリゴ糖など)を摂ることを、「プレバイオティクス」と言いますが、両方を組み合わせると、腸内で酪酸を生成する能力が高まるでしょう。
ちなみにプロバイオティクスとプレバイオティクスを揃えて摂取することを、「シンバイオティクス」と言います。
「骨量は二十歳をピークに減る」ということを頭の片隅に置いて、骨量を守る食生活を心がけてみましょう。