「大腸ガンで亡くなったご先祖がいると、その子孫は大腸ガンで罹りやすい」と言われるように、腸内細菌叢は遺伝しやすいとも考えられていますね。
しかし、多くの遺伝は、そのままDNAを受け継ぐというよりも、同じ家族内の食習慣が類似しているため、同じような病気に罹りやすい、という見方もあります。
特に乳児期に与える食事は、その母親の嗜好が反映されるので、未来のお子さんの腸相をよくするためにも重要です!
イギリスの最新研究を見てみましょう。
健康な腸は2歳半で確立する?
イギリスのニューカッスル大学の研究によると、子供の健康的な腸内細菌は、2歳半ごろに確立し、その後、大人になるまでほぼ変化しない、ということがわかってきました。
すなわち、今のあなたの腸相は、2歳半ごろまでの離乳食が影響しているということですね。
過去は変えられませんが、2歳半以下のお子さんがいらっしゃるご家庭は、まだ間に合いますね。
腸相を良くするには母乳哺育がベスト!
同大学の研究によると、母乳哺育で育つと、子供に健康的な腸内細菌が供給されていることが再確認できたとのこと。
以前より、人工栄養よりも、母乳で育った子供の方が、将来において健康であることは、世界中の研究者たちが証明していました。
今回の研究では、母乳に豊富なビフィズス菌が存在し、そのビフィズス菌がどのぐらいの期間、子供の腸内環境をよくするために働いているかが観察されました。
母乳からのビフィズス菌は31ヶ月間(2年半)子供の腸を守る?
ビフィズス菌は、プロバイオティクスとして腸内を善玉菌優位にする細菌の1つで、腸内環境を整える、治療的な役割を果たす菌でもありますね。
研究では、約1,000人の子供から、12,500件の糞便検査を行い、生後3ヶ月から46ヶ月までのものを観察し、腸内細菌の遺伝子を解析しました。
糞便は、
- 3ヶ月~14ヶ月の発達期
- 15ヶ月~30ヶ月の移行期
- 31ヶ月以降の安定期
の3つの期間で採取して糞便検査を行っています。
その他、兄弟姉妹の存在、ご家庭でペットを飼っていないか、地理的なロケーションも踏まえた上で、腸内細菌叢が調べられました。
その結果、母乳からのビフィズス菌の影響で、腸内が守られているのは2歳半(31ヶ月頃)までで、母乳哺育が終わると同時に、ビフィズス菌は減少していくので、この2歳半の間は、出来る限り長く母乳哺育を行うのが望ましいとのことでした。
※参考:『ネイチャー』2018年10月
さいごに
今は働くママが多いので、卒乳を早めにする人も多いようですが、母乳が出る限りはできる限り長く母乳を与えてあげましょう。
だいたい赤ちゃんが1歳ぐらいになるまでは母乳は出るものなので、ママの健康状態も見ながら、わが子の腸内細菌も見守ってあげましょう。