妊娠中に小麦粉に含まれるグルテンを多く摂取していると、生まれてきた子どもが1型糖尿病になる可能性が高くなるということが、デンマークの最新医学研究でわかってきました。
日本も食の欧米化が進み、朝はパンを食べる人が多くなっていますよね。
1型糖尿病は2型糖尿病と違い、基本的に治らない病となっているので、詳細を見てみましょう。
グルテンと胎児の1型糖尿病の関連とは
グルテンは、小麦粉やライ麦に含まれるタンパク質で、1型糖尿病の発症に影響があると、以前から原因食材として挙がっていました。(大麦にはほぼ含まれていません)
マウスを使った動物実験で、妊娠中のマウスがグルテンを含まないエサで飼育された場合、完全に仔マウスが1型糖尿病にならなかった、という報告が上がっていたからです。
マウスは生体構造が人間と非常に似ている為、同じ作用が起こると期待されていましたが、実際、まだヒトでの経過は観察できていませんでした。
しかし、デンマークのバルトリン研究所の研究報告で、グルテンを多い食事をしていた妊婦ほど、研究者の予測通り、子どもの1型糖尿病の発症リスクが高いことが分かったのです。
グルテンの摂取量はどれぐらいでリスクが高まる?
バルトリン研究所では、1996年から2002年に登録されていた約63,000人の妊婦のデータを解析しました。
妊娠25週目の食事内容の調査データを解析し、子どもの1型糖尿病の発症についてはデンマーク青少年糖尿病レジストリーのデータが解析されました。
母親側と1型糖尿病を発症した子ども側のデータを照合すると、母親のグルテンの1日平均摂取量が13gで、7g~20g以上で分布されていました。
確率としては0.37%ということになるそうです。
(グルテンを多く摂取している妊婦の270人に1人)
グルテンの摂取量に比例して生活習慣も悪い?
子どもが1型糖尿病を発症した母親の生活習慣を調査したところ、グルテンの摂取量が多い人ほど、喫煙、過体重、総摂取カロリーが高いことなどもわかり、生活習慣もよくないことがわかりました。
また、グルテンの摂取量が1日20gを上回る女性の子どもは、1日7g未満の女性と比べて、子どもの1型糖尿病の発症率は約16年の追跡調査で、2倍になることも判明したのです。
この研究では、まだ統計上の確率だけで、グルテンがどのように胎児に影響してしまうかまでの原因までは明らかになっていませんが、今後研究が進められていくようです。
※参考:『英国医学雑誌(BMJ)』2018年9月
さいごに
欧米では日本と違い、パン食が中心なので、このような結果になっていることもありますが、日本でも1型糖尿病で苦しむ子どもたちは、大人になっても毎日、毎回の食事前にインスリン注射を打つなどの治療が続くことになります。
1型糖尿病は、本人の生活習慣ではなく、生まれる前の母親の生活習慣が子どもに影響してしまう可能性が高いので、妊活中の人や妊娠期の方、授乳中の方は、パン中心の食生活、小麦粉でできた洋菓子やスナック類の摂取は控えた方が賢明と言えそうですね。