肉食中心の食生活は、様々な生活習慣病の原因になりますが、お肉を控えすぎると、今度は脳の栄養不足になることがわかってきました。
脳の栄養はグルコース(糖分)だけではありません。
肉食がどのように、脳を活性化してくれるのでしょうか?
お肉を控えすぎると脳や胎児に?
肉食中心の食生活を送り、体調を崩した人は、病気にもよりますが、一時的にお肉を控え、野菜や植物性タンパク質中心の食生活を送りますね。
そうして体重が減るなどして、体調がよくなってくると、今度は、真逆のベジタリアンになる人も多いようです。
しかし、イギリスのニュートリショナルインサイトという研究機関によると、徹底したベジタリアン食は、こと「脳」に関しては、「コリン」という栄養成分が不足するため、脳の栄養不足をはじめ、胎児の成長などに影響すると発表しています。
コリンは食品で獲る必要がある栄養成分
「コリン」は脳の健康を支える栄養成分の1つで、グルコースと同じく、脳にとっては欠かせないものです。
また、コリンが不足してくると、妊婦さんの場合、胎児の発育にも影響してしまうので、重要な成分なのです。
そんなコリンは、カラダや脳が必要とする必須量を、体内で充分に生合成できません。
そのため、食事から摂取する必要があるのです。
コリンの推奨量は?
日本ではまだコリンの推奨量は定められていませんが、欧米では推奨量が既に決まっています。
ヨーロッパや豪州では、アメリカのコリン推奨量を取り入れているようなのでご紹介しましょう。
コリンの推奨量(米国および欧州食品安全委員会)
- 女性425mg
- 男性550mg
- 妊婦450mg
- 授乳婦550mg
となっています。
コリン不足の人は多かった!?
欧州食品安全委員会が、2016年度の北米、豪州、ヨーロッパ各国のコリン摂取量の栄養調査を行ったところ、ほとんどの国々で摂取量を満たしていないことがわかりました。
冒頭のイギリスの研究機関によると、欧米では生活習慣病予防のために、肉の摂取量を控え、植物性食品中心の食生活を推奨している国が多いため、それが関連しているのではないか? と推測しています。
※参考:『BMJ栄養、予防、健康』2019年8月
コリンは肉類、卵、乳製品に
日本では国の推奨量が定まっていない分、コリンはまだまだ認知度が低いでしょう。
コリンは、肉類をはじめ、卵や乳製品に多く含まれています。
これは肥満や高血圧など、生活習慣病の予防食で、控えるよう指示される食材でもありますよね。
あくまで「控える」ことは他の病気予防の観点では大切なことですが、「全く食べてはいけない」という意味ではないはずです。
野菜や魚介類とのバランスも考えながら、肉類や卵なども食べ過ぎに注意して、程度に取り入れるようにしましょう。
さいごに
幸い日本には、肉じゃがや筑前煮など、野菜もたっぷり摂れて、お肉も摂れる家庭料理が豊富ですよね。
大正時代に日本人が自国風にアレンジした「カレーライス」や「シチュー」などもそうですね。
ガッツリとお肉だけ! という食事は控えるべきですが、バランスよくお肉を食べられるメニューで、脳の栄養成分の1つコリンを補っておきましょう。