高齢になると増えてくる脳卒中ですが、女性においては、母乳育児(授乳)を経験した人は、そのリスクが低くなることが、アメリカの最新の心臓研究でわかってきました。
詳細を見てみましょう。
脳卒中と母乳育児の関連性
女性の場合、女性ホルモンの影響で、閉経後にカラダの機能が変わりやすくなり、様々な病気が発症しやすくなります。
その1つに脳卒中も上がっているわけですが、アメリカのカンザス大学の研究で、母乳育児を経験した女性はそのリスクが、そうでない人よりも低いことがわかってきました。
現在、働くママが増え、人工栄養で育てている家庭も増えてきましたね。
何らかの事情で母乳が出にくい場合は別として、母乳が出るにも関わらず、人工栄養に頼っている方は、ご自身の健康のためにも、母乳育児がいいようです。
アメリカ約8万人の女性の統計によると?
カンザス大学の研究結果は、約8万人の閉経後の女性(出産経験のある女性)を解析した大規模調査によるものです。
データは、1993~1998年にかけて募集のあった「閉経後女性の健康的習慣」の調査です。その中より、出産経験のある女性のデータと脳卒中の関連性が調べられました。
(平均年齢64歳)
対象者は1人以上の出産経験があり、そのうち母乳で育てた人は58%でした。
この人たちのみを分類すると、
- 1ヶ月~半年の授乳経験が51%
- 7ヶ月~1年の授乳経験が22%
- 13ヶ月以上の授乳経験が27%
という結果になりました。
母乳育児が少しでもあると脳卒中のリスクが下がる
母乳育児の経験がある人とそうでない人(出産経験は有り)を単純に比較するだけでも、母乳育児経験者は23%も脳卒中のリスクが低くなることがわかりました。
また母乳育児の経験が最も少ない人たちでも19%低いことがわかっています。
母乳育児は自身の健康維持にも◎!
日本でも国が母乳栄養を推奨しており、赤ちゃんとママの両者にとって健康維持やコミュニケーション手段になるとされていますね。
今までも、母乳栄養の利点については様々な論証が挙がっていましたが、閉経後の生活習慣病に関与する報告は今回のケースが、世界でもはじめてのようです。
※参考文献:『米国心臓学会雑誌』
脳卒中リスクの軽減は生活習慣の見直しも
この研究発表は、出産経験のある女性を対象とした調査の発表でしたが、出産経験のない女性が脳卒中リスクが高くなるという結果ではありません。
また必ずしも母乳育児の経験があるからといって、脳卒中を完全に予防できるものでもなく、あくまで統計データです。
やはり日頃の食生活や生活習慣の影響が一番大きいので、代表的な脳卒中予防となる生活習慣を実践しておきましょう。
- 喫煙をやめる
- 程度な運動
- 血圧、コレステロール、血糖値を正常範囲に保つ
- 野菜や雑穀、魚介類を取り入れた健康的な食事
などとされています。
さいごに
脳卒中は血管がドロドロとすると高齢者や閉経後女性に関わらず、若年層の方でも危険は伴います。
運動習慣や入浴で血行をよくし、野菜や魚介類など血液をサラサラにしてくれる食材を取り入れておくとベストでしょう。